(写真は2019年安田記念時のモズアスコット)
2020年3月29日。中京競馬場芝1200mで高松宮記念(G1)が行われた。タワーオブロンドン、ダノンスマッシュ、グランアレグリアの3頭に人気が集中。無観客でのG1、そして重馬場でのレースとなった。
主導権を握ったモズスーパーフレアが快調に飛ばし、直線を向いても勢いは衰えない。残り200mでクリノガウディーが迫ってきたが内にヨレてしまい、モズスーパーフレアとの間にいたダイアトニックの進路を狭くしてしまう。クリノガウディーが体制を立て直しているスキに、大外からグランアレグリアが強襲。最後は4頭が並んでゴールした。
写真判定の結果、クリノガウディーが1着でゴールしたが、ダイアトニックの進路を妨害したために、4着に降着。1着はモズスーパーフレアが繰り上がり、2着はグランアレグリア、3着はダイアトニック。
単勝9番人気のモズスーパーフレアがG1初制覇を成し遂げた。馬主のキャピタル・システムはフェブラリーSのモズアスコットに続く、G1連勝となった。
高松宮記念レース結果
これまでのG1レースでの1位入線降着
これまでのG1レースで1着入線馬が降着になったケースは3度ある。
1991年天皇賞(秋)
単勝1.9倍と圧倒的な1番人気に支持されたメジロマックイーン。鞍上は若き日の武豊。18番枠の大外からゲートを出て急激に内に進路を取ったため、多くの馬を妨害した。レースは2着に5馬身差で圧勝していたが、思いがけない結末となった。このレースを機に、東京競馬場2000mのスタート地点が変更となり、スタート直後のゴチャつきが緩和された。
2006年エリザベス女王杯
1991年の天皇賞(秋)で被害馬となったプレジデントシチーに騎乗していたのが本田優(現調教師)が、今度は加害者となる。無敗でオークスと秋華賞を制したカワカミプリンセスは、古馬相手のエリザベス女王杯に向かった。レースは鋭い切れ味でフサイチパンドラに1馬身半差をつけて完勝した。ところが、最後の直線でヤマニンシュクルの進路を妨害して12着に降着となった。繰り上がりで1着になったフサイチパンドラは、このレースがG1初制覇。やがて繁殖入りして、アーモンドアイの母となる。
2010年ジャパンカップ
1991年の天皇賞(秋)で加害馬に騎乗していた武豊騎手がローズキングダムに騎乗し、繰り上がりで1着になったのが、2010年のジャパンカップ。1着に入線したブエナビスタが、最後の直線でローズキングダムの進路を妨害進路した。ただしこのレースは、馬主、牧場ともに同じだったので、なんとも微妙な空気になったものだ。将来のノーザンファームの独走を予言しているかのような上位独占だった。
このように、G1での降着は、数年後のG1につながることが多い。今回の高松宮記念での降着の加害馬、被害馬の関係者が、再び世間を騒がすことになるかもしれない。